私は小児がんの過酷で辛い闘病生活を続けてきたのに、我が子の完治が難しいと宣告されました。
完治を信じてがんばってきた主治医から緩和ケアの提示がされたとき、家族には何ができるのでしょうか。
娘の完治を諦めるしかなかった当時の心境と残された日々をどうするかを考え続けた日々を思い出しながら書き留めていこうと思います。
ひとつの家族が出した答えとしてお読みください。
小児がんの緩和ケアとは
小児がんの痛みや苦しみを取り除く、軽減させてQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の向上を目的としたケアのことを指します。
治療は事実上断念されるため、残された余命をどう過ごすかを家族は考えていかなければいけません。
特に小児がんの場合は、残される家族の精神的ケアも課題となります。
わが子の治療が中断され緩和ケアを提示されたときの両親の絶望・悲しみは筆舌に尽くしがたいものです。
まずはご両親がこれらの現実を受け入れることから始めなければならず、わが子に残された時間を考えると落ち込む暇もありません。
ご両親にとっては心の整理と受け入れを同時にしなければいけない人生でも最も辛い時期といえます(経験談)。
白血病の娘が緩和ケアを提案されたとき(体験談)
娘が白血病の闘病を始めて1年が経とうとしているとき、私たち夫婦は愛娘のがんの治療が限界にきたこと、緩和ケアを提案されました。
寛解導入療法を経ての再発、がん細胞は叩いては増殖を繰り返していき、治療するたびに検査の数字も娘の体力も少しずつ減っていきました。
それでも私たちは娘が治るのを信じて家族一丸となってがんばっていきました。
娘に学校生活を送らせてやりたい、青春の日々を知ってもらいたい、当たり前の生活を取り戻したい、ただただそれだけでした。
しかし運命は残酷で。
娘にはほとんど時間は残されていませんでした。
何か有効な治療法はないかと色々な文献を調べ、多くの病院の先生に診断してもらいました。
しかし結果は変わりませんでした。
娘が緩和ケアを提案されてから2週間は経っていました。
緩和ケアを提案されてすぐに受け入れられるはずもなく、あまり時間の残されていない娘を連れて病院を回ったことは今でも後悔しています。
結局家族で緩和ケアを受け入れていったのは宣告から2週間過ぎてからでした。
そこから娘が何を望んでいるか、何をさせたいかを家族で考え実行する日々が始まりました。

小児がんの緩和ケアで家族ができること
- 子供が何を望んでいるかを知ること
- 会わせたい人に会わせること
- 子供の前で笑顔でいること
子供が何を望んでいるかを知ること
まずお子さんが「何をしたいか」「どこに行きたいか」「何を食べたいか」「何がほしいか」などあらゆる希望をそれとなくきくことです。
あまり必死にきくと、小学生中学年以上のお子さんは察してしまうかもしれません。
「今日の夕飯は何が食べたい?」とさりげなくきいたり、テレビでテーマパークが映ったら「ここいこうか。他に行きたいところあるか?」と日常生活に織り交ぜて尋ねるのが良いでしょう。
娘は「ディズニーランドに行きたい。ドナルドに会いたい」と言ってくれ、大好きなドナルドに会ってたくさんハグをしてもらいました。
そのときのキラキラした笑顔は今も忘れません。
※ドナルドに会えたときの魔法の出来事をこちらに書いています。

会わせたい人に会わせること
遠方の親戚や、過去にお世話になった人などに連絡し、元気なうちに会わせておいてください。
お子さん自身が会いたい人もいるでしょう、可能な限り会わせてあげてください。
お子さんの免疫力や抵抗力のことも考え、会う時間の調整や清潔な服装をお願いするようにしましょう。
子供の前で笑顔でいること
これが一番大切です。
お子さんの前では常に笑顔でいてあげてください。
「我が子とあとどれだけ一緒にいられるだろう」「またここに連れて来たい」など様々な場面で涙があふれてくるときがたくさんありますが、お子さんの前では泣くのを我慢してください。
家族が毎日笑顔でいてくれることはお子さんにとって一番の安心であり安らぎなのです。
そのたびに「トイレいってくるね」「電話かかってきたからとってくるね」と理由をつけてはその場を離れ、近くにあった洗面所などで涙を洗い流したものです。
手をつなぐこと、ほっぺにちゅーするといった親子の当たり前のコミュニケーションがもうあとわずかしかできない現実に、私の胸は砕けそうでした。
さいごに
我が子の緩和ケアというのは、治療を諦めることとほぼ同義です。
親として受け入れがたいことで、私もかつて何とかして治療はないのかと模索してきました。
しかし我が子には残された時間はありません。
お子さんにしてあげたいこと、望んでいることをひとつでもかなえられるよう、穏やかな日々が送れるよう家族と医療スタッフ一丸となって取り組んでほしいと思います。
お子さんの希望をひとつでも多くかなえてあげることは、家族にとっても悔いのないお別れにつながるはずです。
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