小児がんの治療成績は全体の約7割といわれています。
できうる治療を尽くしたものの、完治が望めず、残された日々を楽しく過ごすことを選択した家族は3割にのぼるのです。
おうちに帰って我が子の残された時間と向き合う時、白血病の娘を看取った経験から、介護と在宅医療について考えます。
我が子の治療を諦める、治療しないとき
治療を断念し、我が子と楽しい思い出を作ることを決めるのは本当に辛いことです。
悩んで悩んで泣いて泣いて出した結論だと思います。私もかつてはそうでした。
治ると信じて、娘の体を治療でいじめぬいた日々が報われないこと、再発で治療の選択肢が無くなっていく恐怖、そして最後の決断。
今でも娘を失う恐怖と娘を助けられなかった無念さを鮮明に思い出し涙が止まりません。
「笑顔のお父さん、お母さん」でいてあげてほしい
私はできていたのか自信がないのですが、お子さんの前では「笑顔のお父さん、お母さん」でいてあげてください。
お子さんの年齢にもよりますが、大抵は治療を諦めることを告知しないはずです。
泣きたくなる気持ちをこらえ、我が子の前では笑顔を心がけてほしいと思います。
我が子が何を望んでいるか
我が子との思い出作りとして、まず考えることは「我が子が何を望んでいるか」です。
旅行に行きたい、美味しいものを食べたい、ほしいおもちゃがある…など。
病状や通院治療、主治医と相談しながらできるだけかなえていってあげてください。
娘はきくたびに、「焼肉」「トイザラス」「レンタルビデオ(アニメを借りてみるのが大好きでした)」が特に多かったように感じます。
あまり遠くにいきたい、旅行したいという事は言いませんでしたが、祖父母を連れて温泉旅行とテーマパークへ旅行へいきました。
大好きなディズニーキャラクターに囲まれて最高の笑顔をみせてくれた娘。
治療を断念して作った2ヶ月の思い出は、一生分の幸せを詰め込んだ日々でした。

小児がんの介護と在宅治療に思うこと
自宅で我が子の介護、在宅治療を行うには、医療スタッフや施設の人との連携が不可欠です。
人工呼吸器や点滴などの扱い方も退院前に学んでおく必要があります。
また、万が一の時の緊急連絡方法や、投薬についても確認しておきましょう。
完全に退院して暮らすのか、入院したまま外泊扱いで、おうちに帰るかは主治医とよく相談しておくと良いでしょう。
お住まいの福祉担当窓口で尋ねてみてください。ほとんどの自治体で使えるようになっています(警備会社でも行っています)。
さいごに
治療をやめて、最後の日々を楽しく過ごそうと決めた時、何をまずするか。
お子さんが望んでいることを、医療スタッフと十分に連携をとって、ひとつずつかなえていってあげてください。
とても辛いことですが、お子さんの前では涙を見せないでほしい。
最後まで笑顔のお父さん、お母さんでいてあげてください。
そして、たくさんの「愛しているよ」「大好きだよ」を伝えてあげてください。
家族の愛に包まれたお子さんは、たとえ短い生涯でも一生分の幸せを感じることができたはずです。
私はそう考えています。
最期の時間をお子さんらしく見送ってあげられますよう、願っています。
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