精巣癌ステージ4からの闘病記-発病・転移・抗がん剤-

がんのステージ4、いわゆる「末期がん」と診断されたとき、何をすべきなのか。
精巣癌ステージ4からの闘病記-発病・転移・抗がん剤-
今回は精巣癌ステージ4の全身転移を告知されながら治療、完治になった人のお話です。

お読みいただく前に

今回お話いただく石井さん(仮名、以下私)とは、妻の逝去後、がん闘病記を形にしたいと奔走しているときに、主治医の紹介で出会いました。

絶望的な告知から、治療への決意、完治への希望、そして今思うことを話していただきました。

※あくまで個人の例であり、症例、治療によって成果に違いがあります。

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異常を感じ始めた頃

デスクワークを主としていた私は、仕事をしながら背中の痛みを感じることがありました。

最初は「寝違えたかな?」くらいのチクチクした痛みだったのですが、数ヶ月後にはちょっと動いただけでビキッ!っとくる激しい痛みに変わりました。

横になることもできず、机にうつぶせで寝ることが多くなりました。

病院では「風邪菌が背中に入ったのかもしれない」と診断され、治療をしましたが痛みは止まりません。

ブロック注射で痛みを抑えている間は良いのですが、薬が切れると、食事中でも息ができないほどの痛さになっていました。

「もしかしたら背中を骨折しているのでは」という話になり、レントゲンをとったところ、体中にクモの子を散らすような白い点があったのです。

がんは首の下から全身に転移していた

「これは…よくないものかもしれないね」

先生は至急大きな病院へ行くように私にいい、そのまま紹介状を書いてくれました。

状況が良く飲み込めないまま、大きな病院で検査を受け、結果、全身に散らばっている白い点はすべてがんで、「首から下すべてに転移しているステージ4のがんです」といわれました。

そして「余命は…もって6ヵ月です」と告げられたのです。

両親は泣いていました。

私は事態が全く飲み込めず、先生に「今日、飲み会の幹事なんですけど、でられますか?」という質問をしていたのを覚えています。

入院・手術・癌確定

精巣癌ステージ4からの闘病記-発病・転移・抗がん剤-
私はそのまま入院し、翌朝手術をしました。

これは何の癌か、原発箇所を確定するための手術でした。
(原発を確定させる間に、一般的な抗がん剤を2クール入れましたが、結果として効果はありませんでした。)

このときに投与された抗がん剤はあまり辛さは感じませんでした。

吐き気や胸焼け、脱毛はありましたが、覚悟していたほどではなかったように感じます。

そして、検査の結果「精巣癌」であることが確定しました。

私は気づいた時には末期でした。

精巣癌の初期症状などは全く感じず、確定後でもしこりなどは「ある…かな?」くらいの自覚でした。

余命を穏やかに生きるか、治療するか。

精巣癌が確定したあと、抗がん剤の専門内科に転科し、治療することにしました。

この前に、残りの余命を痛みなく穏やかに過ごすか、それとも治療にかけるかの選択を迫られました。

治療は抗がん剤を通常の何倍もの量を一気に投与する「大量抗がん剤投与」治療でした。

これは非常にリスクが高く、治療中に命を落とすことを何度も説明されました。

経験されている人ならわかると思いますが、がんの治療や説明には何度も「命を失うかもしれません」という同意書を書かされます。

これもかなり精神的にきついものです。

しかし、私は生きたい。

生きる道がこれしかないのなら、この治療にかけたいと、治療を選択しました。

抗がん剤大量投与治療開始

治療を選んだ私は、事前に自分の骨髄を採取し自家移植する準備を行いました。

抗がん剤大量投与治療。

これは1日おきに大量の抗がん剤を1日3回にわけて入れるというものでした。

無菌室に入っての治療だったのですが、壮絶そのものでした。

吐き気はとまらない、心臓の動悸で目が覚める、体が火がついたかのように熱い。

朝検温にきた看護婦さんと会話したと思ったら次の瞬間には夜になっていました。

そう、意識を失っていたのです。

そういうこともありました。

1分が1時間にも思えるほど苦痛の一週間でした。

治療は1週間でしたが、体が回復するのに1ヶ月以上はかかりました。

この後、体からがん細胞は少しずつ減り、腫瘍マーカーなどの検査でも効果が現われていると言われました。

まだ体はいう事をきかないことが多かったのですが、「生きられるかもしれない」という実感が少しずつわいて来ました。

そして数週間、数ヶ月おきの検査で異常なしを経て、今年(2018年)で12年目になります。
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がんを克服した苦悩

がんを克服し、周囲から「おめでとう」「良かったね」と声をかけられ、同じ病気の人からも「勇気付けられた」「私も続きます!」といわれた時は本当に嬉しかった。

自分の闘病、治療の記録が多くの人を勇気付けられたこと。

しかし、それだけではありませんでした。

同じように闘病して、亡くなってしまった人のご家族から「なんでうちの人は死んであなたは生きてるの?」「生きてるのに優越感感じるでしょ?」といわれたこともあります。

治ったことで辛い言葉をかけられたことが何度もありました。

こういった経験をされているガンサバイバーさんは多く居るとききます。

おちこまないで欲しい、そういう事を言う人を恨まないで欲しい。

家族を失った悲しみをあなたにぶつけてしまっているだけで、あなたは全く悪くない。

あなたは元気になったのだから、そのことを誇りに思って生きて欲しい、私はそう思います。

がんと闘う人へ

がんは元々は自分の細胞との戦いです。

抗がん剤という「毒」を体にいれて自分の悪い細胞と戦うことになります。

そのため、治療が長引けば長引くほど辛くなり、薬の副作用もあとから出て辛くなります。

どんなにお医者様が「皆さんがやっている治療ですよ」とすすめられても、自分が納得しない治療は受けないで欲しいのです。

病院はひとつじゃありません。医者も一人じゃありません。

沢山の病院を回り、多くのお医者さんの話をきいて、「この治療なら、この先生なら自分の命を預けられる」と思ったとき、治療を受けて欲しいのです。

時には病院や先生とケンカをするかもしれません。

私も納得できない治療方法に対して他の病院の先生から意見をきいたりしました。

その結果、完治に繋がった治療法と先生にめぐり合えました。

納得しないまま治療を受けていたら、今の私はここにいなかったかもしれません。

もう一度言います、自分が納得しない治療は受けないで下さい。

これだけは絶対に覚えておいてください。

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