「すぐ治るよ」「大変だね」私たちは、がん患者を励まそう、元気付けようとこれらの言葉を口にしてきました。
しかし、そういった言葉や周囲の態度の変化にがん患者は傷つくことがあります。
家族や周囲の人はどういった接し方をし、どのような言葉をかけるべきなのでしょうか。
今回は、がん患者の家族として、実際に嬉しかったことを書き留めていきます。
がん患者にかける言葉と接し方
がんと診断されてから、患者さんはこれから先の不安と恐怖で、動揺し、憔悴していることと思います。
そんな患者さんの姿をみて周囲は「なんとか励ましたい」「元気付けたい」と言葉を紡ぎだそうとします。
しかし、実際は「がん患者だから」「なんとか励まそう」という気負いは必要ありません。
患者さんはがんという病気になったことで、健康の大切さ、何気ない日常の尊さを再認識することになります。
だからこそ、周囲にこれまでと変わらない対応を求め、そこに幸せを強く感じるのです。
これまでどおり、できる限り普段どおりに接していくこと、がんについて根掘り葉掘りしないことを心がけることが患者さんにとって何より嬉しいことなのです。
患者さんの元気さを強調する
「元気そうでよかった!食欲もあるみたいで良かったよ!」「声もしっかり出てるし良かった!」と、患者さんの元気なところ、調子がよさそうなところを強調して伝えるのを心がけてください。
患者さんはどうしても自身の病気について不安で気持ちも沈みがちになります。
そんな患者さん自身が気づかなかった元気な点を伝えることで、落ち込みがちな気力や精神力を上向きにしていけるように工夫しましょう。
朗らかな笑顔と笑うこと、前向きな気持ちでいることは、抵抗力を高め、病気の治療効果も上がると医学的に実証されています。
妻ががんで闘病しているとき、妻の友人がお見舞いにきてくれました。
がんを告げた後のお見舞いだったので、妻も久しぶりに会いにくる友達にどう接すればいいか迷っていたと思います。
友人は妻をみるなり手をとって「わあ!元気そうでよかった!入院してるってきいたけどいつもとかわらないね!」と励ましてくれました。
妻は「自分は病人だから、がんだから」と思っていたので、そういう反応が意外で、本当に嬉しかったと言っていました。
近い未来に楽しみを提案する
「退院したら~へ一緒にいこう!」「今度の外泊許可の時はバーベキューしようか!」といった近い未来の楽しみを提案することも大切です。
こういった近い未来への期待、楽しみを作ることは、毎日の闘病生活にやる気と活気を与えてくれます。
また、「一緒にやろう」ということで、患者さんと共通の目標を作ることができ、お互いにとってよい相乗効果となります。
患者さんができないことをさりげなくサポートする接し方
患者さんがやろうとしていることを、手取り足とリサポートするのは実は好ましくありません。
「そこまでやってもらわなくてもできるのに」「まだ自分でできるのに」という患者さんの自尊心を傷つける可能性があります。
患者さんができること、できないこと、できなくなってきていることを把握し、それぞれどれくらいの介助が必要なのかを見極める必要があります。
立ち上がろうとしているところに手を添えたり、腰をそっと支えるなど、患者さんのがんばりをさりげなくサポートする立ち振るまいを心がけましょう。
さいごに
がんになってしまったとき、一番精神的に辛いことは「周囲の自分への態度の変化」です。
急によそよそしくなったり、病気の話題を不自然に逸らしたりすることは、患者さんにとって辛いことです。
これまでどおり自然体で接しながら、「困ったことがあったら言ってほしい」とサポートする意思を伝えることは周囲にとっても簡単ではありません。
最初はバランスがとれないことが多いと思います。
自然体を意識しながら、徐々にその意識もなく自然に接していけるようにすることを心がけていきましょう。
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