がんと診断されると、それまでの生活が一変します。
仕事面も例外ではありません。
入院や手術、抗がん剤治療などで仕事を続けられなくなり、退職、転職をせざるを得なくなることもあります。
しかし、仕事を退職、転職する前にできることがあるはずです。
今回はそれらについて書き残していきます。
がんと診断された人の3割以上が退職・転職をする現実
がんと診断されて退職する人は全体の3割以上ととても多いです。
しかも、治療を始める前に退職するケースが多く、「がん治療が始まる=仕事は続けられない」「がんと診断されたから、退職する(会社に居続けられない)」という人が非常に多いという事です。
またがんの種類、できた場所などによって「周囲に言いたくない、知られたくない」と会社に相談できず、退職してしまうケースも少なくありません。
がん患者さんが転職する前に知って欲しいこと
がん患者さんが転職をする前に、まず知って欲しいことがいくつかあります。
- 会社に治療スケジュールを相談してみる。
- 退職前にリハビリ出勤をしてみる。
- 無理を絶対しないこと。
これらのことを確認してから、退職しても遅くはありません。
「がん闘病=退職・転職」ではなく、まず会社に相談してみましょう。
再就職となると、非正規雇用だったり、時短だったりとこれまでより就労条件を下げて求職することが否めないため、収入が不安定になります。
がんは身近で周囲の認識・理解も高い病気です。
「今の職場でがんと戦えないのか」をまず考えて欲しいと思います。
いざ、がんを告白して相談したら、会社が思っていた以上にバックアップしてくれて在籍しながら治療に専念できたという話は実際には多いのです。
会社に治療スケジュールを相談してみる。
がんと診断されたら、医師から治療スケジュールが提示されます。
がんの治療は具体的にどのように進むのか、通院でできる範囲はどれくらいなのか、入院が必要な日にちはどれくらいなのかをしっかり主治医と相談・確認してください。
手術が必要な場合は、入院の日程、手術の大体の日取り、抗がん剤治療/放射線治療の場合は治療スケジュールが提示され、通院できる範囲が大体把握できます。
これらがわかったら、まずは会社に報告をしておきましょう。
がんの治療をしながら仕事を継続するためには、会社の上司・同僚や関係者などの周囲の理解や協力が必要不可欠だからです。
会社にがんを言いたくない人もいると思いますが、がんであることを隠して休んだり、それまでできた仕事を同僚に頼んだりすると「さぼっているかもしれない」と思われかねません。
治療スケジュールを相談して、協力を仰ぐことは社内での理解や信頼を生むことにも繋がります。
退職前にリハビリ出勤をしてみる。
がん治療をしながら転職して、新しい仕事を覚えたり、新たな人間関係を構築していくのはかなり大変です。
慣れた職場でどこまで働くことができるのかを確認しましょう。
がん治療前と変わらずできる範囲、周囲のサポートが必要な範囲を知っておくことは、在籍するか転職するかの判断基準として重要です。
リハビリ出勤をすることで「転職をするほどでもなかった」「職場のサポートが想像以上に手厚かった」と職場に在籍を続けることできたという事例が意外と多いのです。
無理を絶対しないこと。
「治療中でも普段とかわらず仕事できる」ことを会社にアピールする気持ちが、無理をすることに繋がることがあります。
がん治療をすると、体力や抵抗力がこれまでより落ちています。
決して無理をしないでください。
がん治療をしながら、実際にどれだけ働けるのか、嘘偽り無く、無理なく自身の中で見つけることも大切です。
がん治療後の転職先の探し方
がんの治療に専念するために転職をするといった場合、転職先の探し方も考えなくてはなりません。
がんの治療方法やスケジュールは人それぞれです。
自身にあった仕事であることは大前提ですが、会社で定められている有給休暇や休日スケジュールが治療計画に近いか、残業がどれくらいあるのかを確認しましょう。
特に有給休暇の扱いは良く確認しておくことが大切です。
有給休暇は勤務日数などによって、取得できる日数が違ってきますが、1年で20日を上限に使うことができます。
有給休暇を一定日数積み立てることができる「積み立て年休制度」があるところだと、長期入院などに備えることができ安心です。
また、有給休暇の「半日取得」が可能かどうかも確認しましょう。
放射線治療の場合、1週間に何日、毎日数時間の照射治療を行う必要があります。
丸1日休まなくてもできる治療なので、半日有給取得が可能だと、「少しでも働けている」気持ちに繋がるでしょう。
履歴書や面接でのがんの告白の必要性
履歴書や面接で、自分からがんであることや、病歴を伝える必要はありません。
また、仮に伝えざるを得ない状況であったとしても、病歴や既往症で面接の合否は左右されません。
就職活動において、人事担当者が重視すること(すべきこと)は、「その人がちゃんと仕事をしてくれるか」「仕事に対する姿勢は前向きか」です。
ただし、通院や治療のために頻繁に有給休暇や休暇を申請せざるを得ない場合は、事前に告げておいたほうが良いでしょう。
会社は従業員の健康面も配慮する責任があります。
仕事をするうえで、配慮して欲しい箇所があれば、面接時に正直に伝えておきましょう。
総括
がんになってしまうと、治療や体力面で今の仕事を続けることが厳しくなることがあります。
周囲や会社のサポートが難しい場合は、より治療に専念できる職場への転職も考えなくてはいけません。
しかし、「がんである」事に対し、引け目に感じることは一切ありません。
皆に迷惑をかけてしまうと思いすぎず、今できる仕事を堂々と無理なくやっていって欲しいと思います。
参考がん患者の転職先の探し方と就職活動で知っておく事。
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