がんの終末期を有意義に過ごすために、余命を予測することはとても重要なことです。
がんの進行や病状には個人差があり、急変することもあるので、確実な余命予測は非常に難しいです。
しかし大体どれくらいの時期にどのような症状がでるかを知っておくだけで、家族も心積もりができてくるでしょう。
体験談を交えて症状を書き留めていきます。
がんの余命予測について
がんの余命予測というのはお医者様でも非常に難しいところです。
転移箇所や抗がん剤の効き具合、症状がどのガン由来ででているのかで全く違います。
急変する可能性もあります。
今日は大丈夫でも、明日は大丈夫である保障はありません。
傾向として、余命1ヶ月、余命1週間にそれぞれみられる状況、症状を記載します。
あくまで予測は目安として知っておいてください。
参考予後と余命の違いと癌の5年生存率の意味について。がんの終末期の症状
がんの終末期の症状として挙げられるのは主に二つです。
体が痩せることは「悪液質」と呼ばれるものです。
悪液質とはカヘキシーとも呼ばれ、何らかの疾患を原因とする栄養失調により衰弱した状態を指します。
がん患者の共通点として「痩せている人が多い」というのがこの悪液質が原因です。
健康であれば痩せることは難しく、ダイエットも難しかったのに、がんになるとあっという間に筋力が衰え、痩せていきます。
頭の機能も徐々に低下し、意識もぼんやりしたものになっていきます。
そのため、家族や周囲が思っている以上に、終末期のがん患者は死を恐れることはなくなっていきます。
※悪疫質についてはこちらにも書いていますので、あわせてお読み下さい。
参考がん・癌の悪疫質と筋力低下について知っておきたいこと。
余命1ヶ月の症状
余命1ヵ月の目安となる症状は以下のとおりです。
がんの種類や進行具合によって個人差がありますが、余命1ヶ月になると、これらの症状が現れ始めます。
会話もかみ合わなくなったり、新聞や本が読めなくなったりします。
友人や知り合いなど、ご家族以外で顔をあわせておきたい、会いたい人はこの時期にお見舞いに行くのが時期としてはギリギリです。
参考末期ガンのお見舞いで適切な言葉とお見舞い品について。
薬によって軽減できない足のむくみ。
循環機能の低下や水分のバランスが崩れ、足にむくみができるようになります。
薬(利尿剤)で軽減できることもありますが、改善されない、効果が薄くなると、余命1ヶ月程度と判断される場合があります。
妻も足のむくみが生じました。
院内用のスリッパが履けなくなるほどパンパンにむくんでいきました。
このときは既に移動は車椅子でしたが、妻は「もう足の感覚が薄い。足と地面の間に水風船があるみたい」と言っていました。
急に食事がとれなくなる、歩けなくなる。
今までできた食事や徒歩での移動などが急にできなくなると、残された時間は1ヶ月程度と判断することが多くなります。
ほんの数メートル室内を歩き回っただけでぐっすり眠ってしまうくらい疲れてしまうこともあるので、移動はサポートをするようにしましょう。
この時期になると気分転換の散歩も車椅子をおすすめします。
海沿いの散歩は潮風で体を疲れさせてしまうので特に注意が必要です。
しかしながら、散歩の気分転換は患者さんにとって精神的に大きなリラックス効果をもたらします。
寝たきりになってしまうまでは、体調をみながら車椅子でも散歩をできる限り続けましょう。
食事は医師の許す範囲で、できる限り本人が食べたいものを消化しやすい形にして作ると良いでしょう。
薬の副作用などで、口内炎になっていると飲み込むのも辛くなります。
このころの食事介助についてはこちらに書きましたので読んでください。
参考末期がんで食事がとれない時の余命判断と家族ができること。
会話に整合性がとれなくなる、かろうじて会話ができる状態。
妻は余命1ヵ月と診断されるちょっと前から、会話に整合性がなくなってきました。
意味のない話をずっとし続けたり、会話の内容とまったくあわない受け答えをしたりするようになりました。
薬の副作用も多少はありましたが、会話らしい会話は少なくなってきました。
患者さんが何か大切なことを言い残したいという場合は、この時期の前に伝えのこせると良いかもしれません。
※書ききれなかったことをこちらにも書きましたので、あわせて読んでください。
>>末期がんの余命1ヶ月の症状と家族ができること。
余命1週間の症状
このころになると、1日をほぼベッドの上で過ごすことになります。
会話もなくなり、ぼんやりしていたり、眠っていることが多くなっていき、うわごとや見えないものがみえると言うようになったら余命は1週間程度と考えられます。
また、患者さんとの最期の別れ、看取りをどうするかも考える時期です。
>>末期がんの余命1週間の症状と家族ができること。
参考末期がんの看取り方(在宅/病院)-悔いのないお別れのために-
参考末期がんの最後の数日間と数時間に起こる症状と家族の向き合い方。
表情が乏しくなる。
妻の場合、死期が近づくと、表情の変化が乏しくなりました。
こうなってから最期まで、笑うことはありませんでした。
「いたい…いたい…」と痛み、苦しみを訴える時だけ、苦しげな表情になった以外は、無表情が多くなり、たまに視線をあわせる程度になりました。
この時期になると、家族にもお別れがもう数日なんだな、とわかってきます。
会わせたい人や友人の面会はこのころがぎりぎりで、できればもっと早いほうが良いかもしれません。
参考末期がんの余命数日の特徴的な症状と家族ができること。水が飲めなくなる
余命一週間になると、水すら飲めなくなってしまうといった症状が現れることがあります。
本人に「飲みたい」という意思はあるのですが、口に含んでも飲み込むことができずに口から垂れ流してしまう状態になってしまうのです。
妻の場合は、ストローや吸飲みを使っても、吸い上げる力が残っていませんでしたので、脱脂綿やコットンに水を含ませ、唇からほんの少しずつ流し込むしかできませんでした。
(あまり多く流し込むと誤飲する危険があるため)
妻に最後に飲ませたのは紅茶でした。
脱脂綿に含ませ、流し込むと、おいしそうに飲んで、かすれた声で「おいしい…」と言ってくれたのを思い出します。
呼びかけに反応しなくなる。
余命1ヶ月を過ぎたあたりから、呼びかけへの反応が薄れてきます。
亡くなる1週間前ぐらいになると、眠っている状態で声をかけても、肩を軽くゆすっても起きてくれなくなることが多くなっていきます。
薬で鎮静をかけている状態もありましたが、頭の機能低下に伴い、周囲の呼びかけに対する反応は薄くなると考えてよいでしょう。
反応が薄くなるといよいよお別れのときを覚悟せざるを得ません。
このときは「逝かないでくれ」というより、「どうか苦しまず安らかに旅立って欲しい」という気持ちが強かったのを覚えています。
愛する人が最期まで苦しむのだけは耐えがたかったのです。
まとめ
「この症状が始まったから余命1ヶ月」「こうなったからもう1週間くらい」という完全な指標はありません。
症状や全身状態、治療状況、本人の体力で前後します。
急変も十分に考えられます。
容態が安定して1ヶ月以上延命した人もいます。
急な痩せ、呼びかけへの反応、会話の流れなどから少しずつお別れの時間が迫ってくることを判断するしかありません。
末期症状にには「急変」もあります。
参考がん患者の末期症状と急変について。
コメント
[…] 出典:がん/ガンの余命予測、1週間、1ヶ月の症状。 […]
奥様や娘さんの逝去を通して書かれる文章に涙、涙でした。
私は弟をがんで亡くしましたがまさにこの流れでした。
論理的な会話が得意だった弟の話に整合性がでなくなってきたとき、これも末期がんの症状なのかとおろおろするしかありませんでした。
弟の最期にはたちあえませんでした。
電車一本乗り遅れたばかりに。一生後悔するでしょう。